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その46

老化と漢方

 漢方では、老化についてどう考えてきたのか?
古代中国の根本思想である「天人相応」の道理に基づいて、人の生長壮老死を考えたのです。
つまり、人体を小天地(小宇宙)とし、人の生理活動は天地自然(大宇宙)と相応するという考えです。
その結果、幾多の古典医書の理論をもとに老化防止法、養生薬を考案してきたのです。

 代表的な古典、特に「素問霊枢」に見る老化の概念の一例を挙げてみます。30歳五臓大安に従い〈霊枢天年編〉には「30歳で五臓の機能は最も盛ん、以後、腎気は死ぬまで衰え続け、50歳で肝気が、60歳で心気が、70歳で脾気が、80歳で肺気が夫々徐々に衰え始め、90歳で腎気が枯れ尽き、100歳で五臓は皆虚空となり神気は全て去る」とあります。
また〈素問上古天真論〉には女子は7の倍数「14歳で天癸至り任脈通じ月事下り子あり。21歳で腎気安定し28歳で成熟す。35歳で経脈衰え、49歳で任脈虚し子なきなり」。
男子は8の倍数「16歳で腎気盛ん24歳で腎気行きわたり、32歳で筋骨隆盛す。56歳で肝気衰え64歳で天癸尽き子なきなり」と加齢的変化を述べています。

 以上、紙面の都合でほんの一部ですが、要は老化は上実下虚を考慮し体質にあわせた上薬の養生薬を続けることです。

漢方専門薬局 桂林 與五澤 孝
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