●しびれと漢方●
漢方医書には「麻木」と記載されております。厳密には麻をしびれ、木を知覚麻痺と区別して認識しますが、実際上は麻木一つとして「しびれ」と考えてよいと思います。
なぜなら、麻も木も漢方的原因は同じであるからです。麻木の症状も訴えは様々です。痛みでもなく痒みでもなく皮膚肌肉がじんじんする、むずむずする、 肌肉の中を虫が走っているように感じる、感覚が無く自分の肌のように感じない等、いずれも「しびれ」の症状です。
しびれる部位は、気血のめぐりが悪い状態にあります。その原因から虚実二つに分かれます。虚の方は、気血の衰えや五臓の衰えにほかなりません。実とは、体内に存在する邪毒を指します。血液の汚れとしての血、水分の汚れとしての痰飲湿、ストレスで気が停滞して生じる気滞などです。
また、冷え≪寒邪≫が気血の流れを阻害した場合もしびれの原因となります。漢方薬は、夫々の原因に合わせて選用されます。
さらに、しびれの中には、中風(脳血管障害)の前兆との古人の見方も有りますので、気血を補う治療薬は重要視すべきでしょう。 |