●気と漢方●
「気」とは、西洋医学にはない東洋医学独特の概念です。病気の気。気持ち、気分、気が進まない、やる気等々の気。元気、覇気の気。いずれも日常よく使っている言葉ですが、漢方医学的に言うとどういうことになるのでしょう。
そこで江戸時代の漢方大家浅井貞庵先生の言葉を紹介しましょう。「気というものが種々ありて、内径にいう頭気、胸気、腹気、脛気あり。呼吸すると気息の気あり、うんと腹努うとすると腹へ張る気あり、足を踏みこたえ腰へ努うとすると腰足の気あり、気を下へ努うとすると放屁になる気あり、小便中に止めようとすれば小便を止める気あり、胃気の逆しておくびになる気あり、面部に逆上すれば面の赤くなる気あり」と言うように医書の中で述べております。
つまり、このような広範な身体活動は、すべて気の動きとされるのです。目には見えないが実態はあるものを古人は「気」と称して、病の原因の第一義に考えたのです。故に「病気」なのです。漢方では、この「気」を操る漢方薬を「気剤」と言います。 |